2020年の教育改革のまとめ〜センター試験廃止で変わる大学入試

大学受験の基礎知識

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教育業界で話題になっていることのひとつに「2020年のセンター試験廃止」があります。今まで受験生のほとんどが受けてきたセンター試験ですが、2020年1月の実施をもって廃止されます。そしてかわりに、新たな試験がスタートします。

これにより、大学入試は大きく変わることが予想されます。つまり学生は、新たな大学入試に対応するための勉強をする必要があるのです。

ここではセンター試験が廃止される理由や背景を説明したあと、どのような試験に変わるのかについて詳しく紹介します。今後の大学受験にいち早く対応するために、参考にしてほしいと思います。

なお、2020年から最も変わると予想されるのが「英語」です。月1,078円(税込)で学べる「スタディサプリEnglish」というサービスで英語を学ぶと、今後の入試にもしっかり対応することができます。最初に7日間の無料おためしをすることができるため、親子で相談して使ってみてください(※無料期間は申込日が1日目)。

2020年にセンター試験が廃止になる

現在、「教育の2020年問題」という言葉が話題になっています。これは文部科学省が発表した「センター試験の廃止」が元になっています。

現在ほとんどの大学受験生が受けている「センター試験」は、2020年1月の実施をもって廃止されます。そしてそれに代わり、新しい試験の導入が予定されています。つまり2020年を節目として、大学受験が大きく変わろうとしているのです。

この記事は2016年12月に作成しています。つまり約3年後には、大きな教育改革が控えています。これから高校進学・大学受験を迎える場合には、この教育改革に注目しておくべきなのです。

大学入試が変わる理由は「時代に対応するため」

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大学受験が変革される理由は、「より時代に即した教育のため」です。2,000年代に入り「インターネット」が普及して、さまざまな情報が手軽に手に入るようになりました。さらに「スマートフォン」が開発されて、よりインターネットが身近なものになりました。

現代は大人だけでなく子供もインターネットを使いこなして、さまざまな情報を得る時代に突入しています。

こうした時代の中、今までの教育で養われる能力が、実社会で役に立たないことが増えてきました。現代では学んだことを仕事に活かすことができなかったり、いわゆる「学生時代に勉強ができた人」であっても企業の仕事で成果を出せなかったりするケースがよくあります。

こうした時代の背景から、文部科学省は「時代に合った新たな教育が必要」と考えて、2020年を目処に教育改革をしようとしているのです。

「世界に通用する教育」に変化していく

文部科学省が教育改革を行う理由はまだあります。文部科学省は日本の教育を「世界の水準」に合わせることを目的として、改革を進めています。

大学は日本だけでなく、世界各国にたくさんあります。こうした世界の大学に入学するための道として、「国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)」という教育プログラムがあります。

国際バカロレアは「小学生から高校生までの一貫した教育プログラム」です。これを修了して認定証書を受け取ると、世界各国の国際バカロレアの認定校であれば、受験資格・入学資格として認めてもらうことができます。

日本の小学校から高校生までの教育はこれまで、「答が決められている問題に対して、正解を導きだす能力」を養うことが中心でした。これに対して国際バカロレアのプログラムは、「答のない問題に取り組む力」を養う内容になっています。

現代はインターネットの普及で「変化の激しい時代」になっています。そして多くの社会人が「答のない問題」に取り組む必要が出てきています。つまり国際バカロレアのプログラム内容は、日本の教育より現代に合っているといえるのです。日本の大学にも一部、国際バカロレアの認定校があります。

しかし国際バカロレアは注目されているものの、日本の教育とは大きくかけ離れた内容です。そのため国際バカロレアを、そのまま日本の義務教育や高校教育に取り入れることは難しいです。

そのため文部科学省は世界の教育水準に合わせるために、センター試験を廃止することを決めたのです。

センター試験の廃止は「高大接続システム改革」の一環

センター試験の廃止は、「高大接続システム改革」という改革が元になっています。これは上記のことを背景として文部科学省によって行われるもので、「高校教育から大学教育までを一貫して改革する」というものです。

文部科学省は学生に対する教育に必要なこととして、「学力の3要素」というものを打ち出しています。これは、次の3つです。

  • 十分な知識・技能
  • 答がひとつでない問題に対する思考力・判断力・表現力
  • 主体性をもってほかの人と一緒に学ぶ態度(アクティブラーニング)

センター試験は問題の解答を「マークシート方式(選択肢を塗りつぶす解答方式)」で解答します。センター試験は学力の3要素のうち、「知識」「思考力」「判断力」などを評価しやすい試験といえます。

しかし現代社会では、「表現力」や「主体性」がより大切になってきています。そのためこうした要素を身につけることができるように高校教育の改革が行われることになったのです。そしてそれを評価するために、センター試験も新たな試験に変更されるのです。

また、文部科学省と連携している「国立教育政策研究所」という施設では、教育に関する調査や研究が行われています。国立教育政策研究所は「21世紀型能力」というものを提案しています。

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21世紀型能力は、平たくいうと「生きる力を指します。基礎力を土台とする思考力と実践力があり、これらを身につけることで総合的な生きる力が養われる、というものです。

今までの教育は、基礎力や思考力については十分に養うことができる内容でした。しかし現代ではインターネットですでにある情報を調べて使いこなすことが大切になるなど、「応用的に考える力」や「実践力」がより問われている時代といえます。

センター試験にかわり、2つの試験が導入される

センター試験にかわり、導入されるのは次の2つの試験です。

  • 「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」(2020年から実施予定)
  • 「高等学校基礎学力テスト(仮称)」(2019年から実施予定)

これら2つについて、詳しく見ていきます。

センター試験のかわりである「大学入学希望者学力評価テスト」

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「大学入学希望者学力評価テスト」は、今のセンター試験にあたる試験です。この試験と大学の二次試験によって大学入試の合否が判断されます。

センター試験は2020年1月の実施をもって廃止されます。2020年1月のセンター試験はあくまでも浪人生向けに実施されるもので、現役生は「大学入学希望者学力評価テスト」を受験することになります。

センター試験から大きく変わるのは、「試験内容」と「実施時期」です。

大学入学希望者学力評価テストの試験内容は、上で紹介した学力の3要素のうち、「思考力・判断力・表現力、さらに主体性」を重視するものになることが決まっています。具体的には出題される問題が次のように変わる予定です。

  • 数学や理科は、「体験」や「身近な話題」を題材にした問題が増える。
  • 英語は「読む・聞く・書く・話す」の4技能を評価する問題になる。
  • 選択肢の問題に加えて、記述問題が増える。

2016年12月現在、大学入学希望者学力評価テストがどのような問題になるかは、まだ正確に決まっていません。ただ、重要な科目である「国語」「数学」では、2020年度から「数十文字以内で解答を記述する問題」が出題される予定です。また、英語は「書く」と「話す」のアウトプットを重視した問題が出題される予定です。2024年度からは、さらにこの傾向が強まる予定です。

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また、大学入学希望者学力評価テストの実施時期は今までのセンター試験が行われる「1月の第2土曜日・日曜日」から変更予定で、「年に複数回の実施」が検討されています。

センター試験は年に1回だけ開催される、とても大切な試験です。追試験はあるものの受験できるのは1回だけで、「病気でセンター試験を受験できなかった」「雪で電車が遅れて、試験に間に合わなかった」などの問題が毎年出ています。しかし大学入学希望者学力評価テストになって年に複数回の実施になれば、より正しく学力が評価されることにつながり、大学入学への入り口も広くなる可能性があります。

「合教科」「総合型」などの総合問題が出題される

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大学入学希望者学力評価テストでは「合教科」「総合型」という形式の問題が出題される可能性があります。これは、国語、英語、数学のように、科目ごとで出題範囲が分けられているのではなく、「複数の科目を複合して出題される問題」のことを指します。

たとえば英文で理科や数学の問題が出題されたり、社会の問題にグラフがあり、数学の知識が必要になるなどの例が考えられます。つまりさまざまな科目の知識を単純に暗記・理解しているだけでなく、「学んだ知識を使いこなせないと解けない問題」が増えるということです。

一見難しそうに聞こえますが、大学入学希望者学力評価テストはあくまでもセンター試験にかわるものです。そのためいたずらな難問は出題されず、きちんと高校で学ぶ内容を身につけることができていれば、解ける問題が多いと予想されます。

以下は文部科学省が発表している大学入学希望者学力評価テストの問題サンプルです。今後の参考として、確認しておくことをおすすめします。

大学入学希望者学力評価テストの問題サンプル(文部科学省)

高校生の学力を測る「高等学校基礎学力テスト」

高等学校基礎学力テストは大学に入学する受験生を選抜するための試験ではなく、「学校で実施して、生徒の学力を定期的にチェックするための試験」として導入される予定です。

内容は「高校生としての基礎学力が身に付いているか」を評価するもので、「国語」「数学」「英語」での実施が予定されています。問題は知識・技能・思考力が必要になる問題が中心で、大学入学希望者学力評価テストよりも難易度が低めになります。また、高等学校基礎学力テストは正誤式(◯×で回答する方式)や選択肢式の問題が中心になります。

高校ごとに、行われている教育は異なります。高等学校基礎学力テストは全国の高校生が受験することができるため、生徒は「自分が今どのくらいの成績なのか」を知ることができます。また、学校側は「生徒が高校で身に付けるべき学力を身につけられているかどうか」を確認することができます。そのため試験結果を、今後の勉強や教育の改善に活かすことができます。

高等学校基礎学力テストは、これまで行われていた高校ごとの学力テストのかわりとして導入されることが検討されています。高等学校基礎学力テストは今(2016年12月)の段階において、どのように利用されるかは未定の部分が多いです。

高等学校基礎学力テストは高2~3年生が受験対象で、年2回の実施が予定されています。受験は任意で、自分で受けるかどうかを決めることができます。

文部科学省は高等学校基礎学力テストの問題サンプルも発表しています。こちらも大学入学希望者学力評価テストの問題と合わせて参考に確認しておくと良いでしょう。

高等学校基礎学力テストの問題サンプル(文部科学省)

マークシート方式から「CBT方式」に変わる

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センター試験は「マークシート」で解答します。選択肢の番号を塗りつぶす方法ですが、大学入学希望者学力評価テストと高等学校基礎学力テストは「CBT方式(Computer Based Testing)」という方式で解答します。これは、「パソコンを使って解答する方式」です。

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CBT方式では、たとえば記述問題で文章を作るときに、解答をキーボードで入力する必要があると考えられます。そのため、試験までにパソコンの操作方法を十分に習得しておく必要があります。

一見難しくなりそうなイメージですが、現在は子供のころからパソコンに慣れている人が多いです。そのためCBT方式になることで難易度が上がることはあまりないかもしれません。

大学の二次試験・個別試験も変更予定

このようなセンター試験の廃止にともない、「国公立大学の二次試験(前期・中期・後期試験)」や「私立大学の個別試験」も変化する予定です。「学力の3要素を総合的に評価できる問題」に変更されるとされていますが、2016年12月の段階では、まだ各大学とも具体的な内容を発表していません。

ただ、大学入学希望者学力評価テストで重視される「実践力(知識を使いこなす力)」や「表現力(知識を使い、自分で表現する力)」を試される試験になることが予想されます。具体的には以下のような要素が、試験に取り入れられることが増えると考えられます。

  • 記述問題
  • 小論文
  • プレゼンテーション
  • ディスカッション(議論・討論)

現在でも、「推薦入試」や「AO入試(個性や人物像で評価される試験)」でこうした試験が取り入れられています。今後は一般入試でも、こうした要素がより強まることが予想されます。

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英語教育でよく話題になりますが、今まで日本の教育は知識の「インプット」が重視されてきました。しかし今後は知識の「アウトプット」も重視される時代といえます。インプットとアウトプットの力をバランス良く伸ばすことが、今後の大学入試成功のポイントといえます。

教育サービスの内容は徐々に移行

大学入試が変われば予備校・学習塾・通信教育などのサービスも、内容が変わることが予想されます。

しかし2016年12月の段階では、まだ大学入学希望者学力評価テスト・高等学校基礎学力テストともに内容がきちんと決まっていません。そのため教育系のサービスは、まだ新しい大学入試に対応したカリキュラムなどを発表していません。

ただ、教育の変革にいち早く対応できるように、新たなカリキュラムを展開しているサービスもあります。今後に向けていち早く対策をしたい場合は、検討してみるのはおすすめです。

おわりに

ここでは2020年に控えている、センター試験の廃止と「大学入学希望者学力評価テスト」と「高等学校基礎学力テスト」という、新たな試験について紹介してきました。大学入試の変革が行われることで、大学入試への受験勉強も大きく変わります。

ただ、問われている力は知識を習得する「インプット」と、それを使いこなしたり、表現したりする「アウトプット」の能力です。表面的な入試の変化に惑わされず、本質的な学力を身につけるようにしましょう。その上で新たな入試の仕組みを理解すれば、今後の大学受験にしっかりと対応することができるはずです。

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