大学入試改革で重視される学力・能力の内容と、具体的な対策方法

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大学入試は時代とともに変更が加えられていますが、2020年に「大学入試改革」が行われることが決まっています。現在の大学入試で重要な位置づけとなっている「センター試験」が廃止されて、より今の時代に合った試験に変更されます。また、それに合わせて国公立大学の二次試験、私立大学の個別学力試験も変更される予定です。

大学入試改革は、「これからの時代に必要な学力・能力を、正しく評価するため」に行われます。「今後重視される力」がどのようなものなのかを知っておくことで、新しい大学入試にも対応しやすくなります。

ここでは、「今後の大学入試で評価される学力・能力」と「それに向けて行うべき具体的な対策」について紹介します。

大学入試で重視される学力・能力

現代は「変化の激しい時代」に突入しています。これまでは「より高品質な商品・サービス」が主に追求されてきましたが、今はこうした商品・サービスだけが売れる時代ではなくなってきています。スマートフォンやタブレットに代表されるような「画期的な商品」が求められており、こうしたものを生み出すためには、「これまで重視されていた力とは異なる能力」が必要とされています。

また、こうした時代の背景とともに、「会社(仕事)で求められる能力」にも変化が出てきています。上の立ち場にいる人から言われたことをこなすだけでなく、「自ら考えて、行動する力」が必要とされているのです。

これをふまえて今後必要とされる学力・能力は、大きく次の6つにまとめることができます。

表現力:自分の考え・世界観などを伝える力
思考力:物事を考える力。
判断力:目の前の物事について、適切な選択をする力。
主体性:自ら行動する能力。
協働性:周りの人たちと協力できる能力。
多様性:さまざまな物事に対応できる能力。

この中で特に重視されるものは「表現力」と「主体性」だと考えられます。従来の「先生が授業をして、生徒がそれを学ぶ」というスタイルでも、思考力や判断力を養うことができました。また、クラスの友達と過ごすことで、協調性も養うことができました。

しかしこれまでは「先生が一方的に教える」という面が強く、子供が自分の考えを表現したり、自分から積極的に行動したりする力は、あまり養われませんでした。つまり表現力と主体性に関する教育は、これまで後回しにされてきたのです。しかし今の「変化する時代」「答のない問題」「グローバル社会」に対応するには、むしろ表現力や主体性が必要とされています。

今後重視される可能性が高い学習

上で紹介した6つの学力・能力を養うために、次の5点が重視されると考えられます。「これらの力を伸ばそう」と意識して生活すると、今後の大学入試にもスムーズに対応しやすくなります。

自分の考え・意見をもつ

今後は主体性や表現力があるかどうかを確認するために、「自分の考え・意見」が重視されます。そのため「自分はこう思う」という意見や考えをもつようにすると良いです。

日頃の生活で「自分の意見をもつようにしよう」と意識すると、テレビ番組やニュースを見ているときに、自分の意見を考えるようになります。

たとえば「ブラックバイト(過酷な仕事のアルバイト)が増えている」というニュースを聞いたときに、「職場が働かせすぎるのは良くない」と考える人もいれば、「もしかしたらバイトをしている人が、ちゃんと仕事をしていないかもしれない」のように考える人もいます。

正しい、間違っているかは別として、こうして「自分の考えを周りの人に伝えられるようにすること」が大切です。意外と多くの人が「どうでもいい」「自分には関係ない」と考えて、自分の意見をもたないことが多いです。しかし大学入試や大学の授業、その先にある仕事では、こうした「自分の意見」が大切になります。

最初は何でも良いので、テレビやスマホなどで見た話題について考えてみると良いです。これを繰り返していると、自分の考えがよりたくさん思い浮かぶようになるはずです。

英語(リスニング・スピーキング・ライティング)

今の時点でも大切な科目である「英語」は、今後も重要視される可能性が高いです。今後も加速する「グローバル化」に対応できるようにするためです。

ただ、問題として課される「内容」は、今までの英語とは違ったものになります。従来は「文法問題」や「長文読解」が中心でしたが、今後は「リスニング(聴く力)」「スピーキング(話す力)」「ライティング(書く力・英作文)」が重視されるようになります。

つまり今までは「単語・文法・読解の知識を、理解しているかどうかを問う問題」が中心でした。しかし今後は、「これらの知識を元に、英語を使いこなす力」が問われます。リスニング・スピーキング・ライティングとも、英語の基礎的な知識を習得していないと、身に着けることができません。

これは今までよりも「ワンランク上の学習」といえます。ただ、逆にこれらをマスターしないと、英語を聞き取ったり、話したり書いたりすることができません。「日本人は英語の知識は豊富だが、実際に話せる人が少ない」といわれることがあります。今後は本当の意味で、英語を身に着けることが求められているのです。

そのため英語を音声などで聴く機会を増やしたり、簡単な文章でも良いので、英語で話したり、英作文を書いたりしてみましょう。日頃からトレーニングをしておくと、それが積み重なって大きな力になるはずです。

記述問題・小論文

「記述問題」や「小論文」は今も国公立大学の二次試験で課されていますが、今後もより重視される可能性が高いです。記述問題や小論文では「自分の考えを文章として伝える力」が必要で、上で紹介した「表現力」や「主体性」を評価するために適しているためです。

「自分の考えをもつこと」と「考えを文章で表現すること」は別の力です。文章で表現することは、日頃からトレーニングをしていないと上手く行うことができません。

そのため、日頃から記述問題を意識して勉強すると良いです。「自分だけでなく、ほかの人が見ても分かるように途中式や解答を書く」ということに気を付けると、記述力を伸ばすことができます。

また、今までのような「答がひとつに定まる記述問題」ではなく、「ブラック企業について、自分の考えを述べよ」のような「答がひとつではない小論文形式の問題」が増えると予想されます。

「複合問題」に対応できるようにする

今後の入試では「英語の問題」「数学の問題」のように各科目の力を別々に評価するのではなく、「複数科目の要素を複合した問題」が出題される可能性があります。例として「英文を使った理科の問題」や「数式を使って論述する問題」などがあります。

こうした問題でも、きちんと知識を身につけていれば解くことができるはずです。ただ、慣れていないと問題を見たときに難しそうに感じてしまい、解けずに試験が終わってしまう可能性があります。そのため日頃の勉強で複合問題の演習をしておくことが大切です。

ただ、こうした問題の演習をすることができる教材は、今のところほとんどありません。また、どのような問題が出題されるかについても、2017年1月の段階では文部科学省で検討されている最中です。問題傾向が決まり、予備校や出版社から教材が販売され始めたら、対策をするようにしましょう。

Z会と栄光ゼミナールという学習塾が共同で運営している「大学受験 ディアロ」という予備校は、今後の新しい入試に対応した体制で学ぶことができます。いち早く対策をしたい場合には、検討してみると良いと思います。

ディスカッション・グループワーク

今後は協調性や表現力を確認するために、ディスカッション(議論・討論)やグループワーク(グループでの話し合いや作業)が課される可能性もあります。2017年1月現在、すぐにこのような試験が主流になることはありません。ただ、今後の流れとして重視されるようになるかもしれないことは、覚えておくと良いと思います。

上で紹介したように自分の考えをもち、それを言葉や文章で伝えられるようにしておくと、ディスカッションにも対応しやすくなります。

グループワークについては、日頃の「友達や同級生とのコミュニケーション」を積極的にとると良いです。コミュニケーションが苦手な場合があるかもしれませんが、できる範囲で周りの人と話すように意識していると、少しずつ改善することができるはずです。

日頃からのトレーニングが大切

ここでは、今後の「新しい入試で必要になる学力・能力」と、「今後に向けて具体的にするべきこと」について紹介してきました。

上でお伝えした「意見をもつこと」「英語の学習」「記述・小論文対策」「ディスカッション・グループワーク」「複合問題への対策」は、すぐに身につく力ではありません。そのため、日頃からトレーニングを積み重ねることが大切です。2020年以降に大学受験を迎える場合には、今後のために今から意識しておくことをおすすめします。

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