※このページはプロモーション(広告)を含みます。
大学受験の参考書・問題集はさまざまなものが市販されています。その中でも異色を放っているのが「大学への数学(東京出版)シリーズ」です。ひと目見て「難しすぎる」という感想をもつ受験生がいる一方で、数学が得意な人、数学が好きな人は「素晴らしい」と絶賛することが多いです。ここまで評価が極端に分かれる教材は、あまりありません。
私も大学への数学を「非常に良い教材」だと思っています。大学への数学にはさまざまなシリーズがあり、どれを勉強して良いか迷うことがあると思います。ここでは大学への数学シリーズの特徴と、さまざまな種類の中で、特におすすめのものを紹介します。目的・用途に合わせて教材を選んでみてください。
なお、ハイレベルな受験生にとてもおすすめなのが「Z会」です。質の高い「良問」で勉強でき、「添削問題」を解くことで難関国公立大学で必須となる「記述対策」をすることもできます。公式サイトでサンプル問題やパンフレットを取り寄せることができるため、親子で相談して使ってみるのはおすすめです。
数学をさらに伸ばしたい人向けの教材
「大学への数学シリーズ」は、どの教材も難易度が高いです。しかしむやみと難問を集めているわけではなく、その難しさには意味があります。そしてきちんと基礎を押さえた上で取り組むと理解でき、ときには感動してしまうような数学の面白さを学ぶことができます。
学校で教えてもらった解き方では時間がかかる問題でも、大学への数学では見事な解き方を解説しています。その解き方の発想は、人によっては「エレガント」と表現することがあるほどです。
高校数学は「二次関数」「確率」「微分・積分」「ベクトル」など、ひとつひとつの分野がバラバラに見えてしまいがちです。しかし大学への数学では、『高校数学で学ぶそれぞれの項目を「道具」としてとらえて、さまざまな道具を使いこなして問題を解く』という印象があります。
問題を解くときに「これは二次関数の問題」「これはベクトルの問題」と考えていた人にとって、大学への数学の解法(問題の解き方)は非常に驚くべきものです。「ここでベクトルを使うのか!」「こんな発想・視点があるのか!」ということを、ひとつひとつの問題で見せてくれるのが大学への数学です。
私も最初に大学への数学の解き方を見たときには「自分が10行ほど途中式を書いて解く問題を、なぜ大学への数学では4行で解けているのだ」とビックリしました。とても無駄がなく、「こういう発想があるのか」という解き方がされていて、数学の視野が広がりました。
「分かる人には分かる面白さ」があるのが、大学への数学の魅力だと思います。
取り組む目安は「偏差値60以上」
大学への数学に取り組む場合、「偏差値60以上」を目安にすると良いです。これよりも偏差値が低い場合は、大学への数学を読んでも理解できないことがあります。また、黄チャートのような基本を学べる参考書のほうが、学習効果が高いです。
大学への数学は教科書で学ぶ内容を理解して、基礎を固めた上で取り組まないと意味がありません。人によっては「より難しい教材を使えば、大学受験で合格しやすくなるだろう」と考えて大学への数学を使うことがあります。しかし基礎力がない状態で大学への数学を使うことはおすすめしません。
上位国公立・私立大学を目指す人におすすめの教材
ここでは大学への数学の中で、上位国公立大学(東大・京大・阪大・東工大・北大・東北大・名大・九大、早稲田・慶応など)を目指す人におすすめの教材を紹介します。大学への数学の中でも使いやすく、多くの受験生に適したものを挙げています。
画像をタップ・クリックすると、Amazonで詳細を確認できます。
典型問題をマスターできる「1対1対応の演習」
大学への数学の中でも、一番使いやすいとして評判の参考書・問題集です。数1・数A・数2・数B・数3・数Cまで1冊ずつあり、100問ほどの例題が詳しく解説されています。例題の下には練習問題があります。黄チャートと構成が似ています。
1対1対応の演習では例題をひとつひとつ解くことで、「典型的な問題の解法」を学ぶことができます。
数学には「典型問題」といわれる、「解き方が決まっている問題」があります。いわゆる「良くある問題」というものです。1対1対応の演習はこの典型問題を網羅しているため、数1A〜数3Cまで学ぶことで、数学の全範囲における典型問題をほとんどマスターすることができます。
「黄チャートはかなり簡単に感じる」という場合、黄チャートの代わりに1対1対応の演習を使うと良いでしょう。逆に黄チャートを使っている場合、1対1対応の演習は中途半端になってしまいます。「入試問題には少し内容が足りず、黄チャートよりは少し難しい」というレベルのため、黄チャートか1対1、どちらかを使えば良いです。理系の人は大切な分野である「数3」だけ、1対1で勉強するのも良いです。
1対1対応の演習は「大学への数学ならではの解き方」が取り入れられています。そのため大学への数学の入門としても良い教材です。
確率を補強したい場合に適した「ハッとめざめる確率」
数学で難しいといわれることが多い分野に「確率」があります。確率では単に計算すれば解ける問題が少なく、思考力・発想力が試されます。しかし逆に、問題のイメージをつかんで式を立てることができれば、そこからはスムーズに解きやすい問題でもあります。
ただ、「確率は考え方が分からない」という受験生は多いです。こうした受験生に「ハッとめざめる確率」は適しています。大学への数学の中ではとても取り組みやすい部類に入り、基礎から応用レベルまで、重点的に確率を理解することができます。
本書の著者は「月刊大学への数学」でも記事を執筆している「安田亨(やすだとおる)さん」という方です。分かりやすさと高い実力に定評があり、ハッとめざめる確率もとても分かりやすいです。ただ基礎からとはいえ、偏差値50ほどで取り組もうとすると挫折してしまう可能性があります。
また、ハッとめざめる確率の後半では、「確率の高度な内容」まで踏み込んで解説されています。必要なレベルまで勉強したら、それ以降は取り組む必要はありません。過去問のレベルと照らし合わせて判断しましょう。
理系の微積分を完成させる「微積分 基礎の極意」
「微積分 基礎の極意」も素晴らしい良書です。数3の微積分について本質が解説されていて、典型問題を網羅しています。
構成は「約200項目からなるトピックの解説」+「典型問題の演習」となっています。トピックは順番に読むだけでも大きな気付きがあります。
またトピックでは、「大学への数学ならではの本質的な考え方」が解説されています。学校の延長で勉強していると、気が付くことができない発想を学ぶことができます。微積分は計算量が多いですが、「単なる計算問題ではなく、イメージがとても大切」ということが分かるはずです。
理系の入試において、数3はとても大きなウエイトを占める分野です。そのため重点的に学ぶ必要がありますが、そのために基礎の極意はとても役立ちます。
ちなみにタイトルに「基礎」と付いていますが、あくまでも「数学という学問における基礎」という意味です。「基礎=簡単」と思って取り組むと挫折してしまうため気をつけてください。私も受験生時代、とても活用した1冊です。
ここまで紹介した「1対1対応の演習」「ハッとめざめる確率」「微積分 基礎の極意」の3種類をマスターするだけでも、大きく学力を上げることができます。長年にわたって上位校を目指す受験生に支持されてきた教材なので、ぜひ手に取ってみてください。
また、必須ではないですが、大学への数学シリーズで役立つものをあと2つ、紹介しておきます。
ボリュームのある問題集「新数学スタンダード演習」
大学への数学は参考書と問題集を兼ねたものが多いですが、「新数学スタンダード演習」はたくさんの問題が掲載された問題集です。1A2Bの分野が網羅された「新数学スタンダード演習」と、数3分野の「数学3スタンダード演習」があります。
問題の選定・解説ともに「大学への数学テイスト」で良いのですが、分量がとても多いです。数1A2Bは250問近く、数3は150問近くあります。
1日3〜5問ペースで解いていくと3ヶ月〜半年ほどで全ての問題を解き終えることができます。ただ、1問ずつが濃いため、時間的に厳しい可能性があります。特に難しい問題にはマークが付いているため、標準的な問題に絞って演習をすると効率良く学ぶことができます。
こうしたことから新数学スタンダード演習は、『ひとつひとつの問題を「解法のストック」と考えて、どんどんこなせる人』に向いています。大学への数学の問題集を使いたい人にはおすすめです。
大学への数学ならではの解き方を学べる「数学ショートプログラム」
大学への数学では「内積と見る」「束で考える」「逆手流」など、独特の考え方がたくさん出てきます。これをまとめて学ぶことができるのが「数学ショートプログラム」です。基本的な問題を通して大学への数学特有の解法を学ぶことができ、解き方の幅を広げることができます。
数学ショートプログラムのコンセプトに「厳密な証明より、大局的・直感的な理解を重視」というフレーズがあります。内容はまさにこれに沿ったものになっています。数学ショートプログラムは特に、「計算でゴリゴリと解くのは得意だけれど、図形問題が苦手」という人におすすめです。
数学は図形的に考えることがとても大切です。視点を変えるだけで、解くのに時間がかかっていた問題がパッと解けることがあります。こうした鮮やかな解き方を身につけるために、数学ショートプログラムは適しています。
ただ、ひとつひとつの解き方がテクニック的に見えるため、基礎力がないと実際に問題を解くときに応用することができません。勉強に余力があったり、大学への数学の解き方に興味がある場合に取り組むと良いでしょう。
大学への数学で数学をさらに得意に
ここでは、大学への数学について紹介してきました。大学への数学シリーズは難易度が高いですが、使いこなすことができると、数学の学力をさらに上げるのに役立ってくれます。
また、大学への数学は「数学の本質的な面白さ」を知ることができる教材でもあります。取り組み始めるとさらに数学を追究したくなる魅力があるため、数学が得意な人はぜひ取り組んでみてください。大学への数学は大きな書店でないと取り扱っていないことがあるため、インターネットのAmazonなどでの注文が便利です。