自宅で勉強することができる「通信教育」は、予備校と並んで人気が高いサービスです。通信教育のサービスには種類がありますが、共通するメリットは「自分のペースで勉強できる」「予備校に比べて費用が安い」ことです。通信教育の教材を活用することで、志望校に合格することは十分できます。
ただ、「どの通信教育が良いか分からない」「どれも良さそうなので迷ってしまう」ということがあると思います。そこでここでは、特に人気のサービスである「スタディサプリ」「進研ゼミ」「Z会」の3つを比較しています。「どんな人に向いているか」についても紹介しているので、自分に合ったサービスを利用して、ぜひ受験対策をしっかりしてほしいと思います。
なお、申し込む場合には「料金の支払い方法」を決める必要があるため、親子で相談することをおすすめします。
Contents
月980円で有名講師の授業を学べる「スタディサプリ」
通信教育の中で一番おすすめなのが「スタディサプリ」です。大手企業のリクルートが運営しているサービスで、月980円(税抜)で東進ハイスクールなどの大手予備校で指導経験のある有名講師の授業を動画で学ぶことができます。そのため低価格でも授業の質は高く、受験対策を十分にすることができます。
また、内容と料金のバランスが良いことから、スタディサプリは全国700以上の高校で利用される教材となっています。
スタディサプリがおすすめなのは主に次のような場合です。
- これから受験対策を始める。
- なるべく費用を抑えつつ、質の高い受験勉強をしたい。
- 自分で参考書を読んで学ぶより、授業を聞くほうが理解しやすい。
私は教育業界に携わってきたことからさまざまな教材を確認してきました。その中でもスタディサプリは質と料金のバランスが取れた、非常に良い教材だと考えています。14日間の無料おためしがあるため、最初に向いているかどうかを確認してみることをおすすめします。
サポートが充実している「進研ゼミ」
進研ゼミは長い歴史を誇る通信教育教材で、長年に渡り教材の改善がされています。進研ゼミはスタンダードな教材として多くの受験生に利用しやすく、幅広い学力レベルに対応しています。教材はメリハリの利いたレイアウトで構成されていて、興味をもって勉強しやすくなっています。
教材には毎月「添削問題」があり、国公立大学の二次試験で課される「記述問題」への対策をすることができます。「赤ペン先生」による添削アドバイスで、記述力を確実に高めることができます。
また、冊子教材に約500円をプラスすると利用できる「iPadスタイル」というサービスでは、冊子での勉強だけでなく、iPadを使って解説講座を見たり、勉強スケジュールを管理したりすることができるようになっています。
さらに、「電話」や「チャット」でのサポートがあり、教材についての質問や、学習相談をすることができます。通信教育は「継続しにくい」という点が大きなデメリットですが、進研ゼミはサポートを活用することで続けやすくなっています。
進研ゼミは次のような場合におすすめです。
- 費用を抑えて受験対策をしたい。
- 質の良い教材で、独学で勉強したい。
- どんどん問題を解いて、自分のペースで進めたい。
- 記述問題に対応できる力を身に付けたい
進研ゼミはインターネットの公式ページから「資料請求」をすることができます。教材の見本を確認することができるため、「まずは内容を見てみたい」という場合には利用すると良いです。
難関大を目指すなら「Z会」がおすすめ
Z会は東大・京大・早稲田・慶応など、難関大学を目指す受験生におすすめの通信教育教材です。進研ゼミと比較されることが多い教材ですが、進研ゼミは「スタンダード」、Z会は「ハイレベル」というイメージです。
Z会は正直なところ、取り組む目安は「偏差値60以上」です。基礎力に加えてある程度発展的な問題を解く力を身に付けていないと、教材に掲載されている多くの問題に対応することができません。逆にいうとある程度しっかりとした学力がある場合には、さらに成績を伸ばすためにとても効果的な教材といえます。
Z会は「知的好奇心」を満たすにも最適な教材といえます。難関大に対応できる力を養うことができつつも、問題を通してそれぞれの科目にある面白さを知ったり、教養を身に付けたりすることができる内容になっています。
また、Z会には進研ゼミと同じく「添削問題」があります。毎月提出することで、記述力を磨くことができます。特に難関大学の記述問題は非常に難易度が高いため、Z会で十分に対策をしておくのはおすすめです。
Z会は次のような場合におすすめです。
- トップクラスに位置する大学を目指したい。
- 独学が向いていて、質の良い問題に触れたい。
- 難関大学に対応できる記述力を身に付けたい。
- 現在、受講したい科目の偏差値が60以上ある。
Z会は公式ページから「資料請求」ができるようになっています。見本教材を確認することができるので、内容を見てから申し込みたい場合には、まずは資料請求をおすすめします。
8項目の比較
ここからはスタディサプリ・進研ゼミ・Z会の3サービスを、より詳しく比べていきます。まずは3社を8つの項目で比較してみました。
スタディサプリ (リクルート) |
進研ゼミ (ベネッセ) |
Z会 (増進会) |
|
---|---|---|---|
料金(月額) | 980円(税抜) | 5,390円(税込)から | 5,600円(税込)から |
対象(目安) | 偏差値50以上 | 偏差値55以上 | 偏差値60以上 |
テキスト | サブ教材・PDF(印刷可) | メイン教材・冊子 | メイン教材・冊子 |
動画 | メイン教材 | サブ教材 | サブ教材 |
講師 | 大手予備校の講師 | オリジナル解説動画 | Z会教室の講師 |
添削 | × | ◯ | ◯ |
サポート | × | 電話・チャット | 郵便 |
お試し | 14日間無料 | 体験教材・ネットで体験 | 体験教材 |
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきます。
3つとも質は高いが、対象レベルは異なる
スタディサプリ・進研ゼミ・Z会の3つは、通信教育サービスの中でもとても人気が高い教材です。料金に比べて質が高く、どれも受験対策をするのに適しています。
料金はスタディサプリが一番安いですが、進研ゼミやZ会も、大手予備校や学習塾と比べるととても安いです。そのため、3つのサービスを料金だけで決めるのはおすすめしません。
対象となる偏差値の目安は、教育業界に携わってきた私が独自の判断でつけたものです。Z会は「完全に難関大学志望の人向け」です。とても難しいですが、東大・京大を始めとする難関大学を志望校とする受験生からは、「オリジナル問題の質が非常に高い」と評判です。現時点での学力にあまり自信がない場合は、スタディサプリか進研ゼミがおすすめです。
進研ゼミはZ会に比べるとスタンダードな内容で、より幅広い人に対応しています。ただ、少し難しい内容は多く、動画解説はあくまでもサブ教材です。そのため進研ゼミは、「自分で解説を読み、理解しながら勉強できる」という場合には良いです。
「講師による説明を聞きながら勉強したい」という場合は、スタディサプリがおすすめです。スタディサプリは講師による動画講義を見ながら勉強できますが、講師は東進ハイスクールや河合塾、Z会東大進学教室などで指導経験のある人が担当しています。そのため講義の質は高く、標準から難しいレベルの問題まで、分かりやすく理解することができます。
最終的に到達できる学力はスタディサプリ・進研ゼミともに、東大・京大・早稲田・慶応などの最難関レベルに対応しています。
参考書は用意しておくべき
スタディサプリ・進研ゼミ・Z会は3つとも「軸として勉強するのに最適な教材」です。ただ、「参考書」は用意しておくことをおすすめします。基本的な内容を振り返るためには、本を開けばすぐに探すことができる参考書のほうが便利です。
3社とも費用は安い
月額料金はスタディサプリ・進研ゼミ・Z会とも、安く設定されています。スタディサプリは特に月980円(税抜)と非常に安いため、「まずは使ってみよう」という場合にもおすすめです。
また、進研ゼミやZ会もスタディサプリよりは高いものの、大手予備校や地域の学習塾と比べると、とても安いです。1教科あたり月5,000ほどから受講でき、入会金や解約金もかかりません。Z会は問題の良さに定評があり、「月5,000円ほどでこのクオリティは安い」と評価する人は多いです。
また、これら3つのサービスだけでも十分に受験対策をすることができますが、予備校や学習塾と合わせて利用する人もいます。予備校などでは講師やスタッフが勉強のサポートをしてくれて、すぐに質問や相談をすることができます。通信教育を勉強する中で分からない点が出てきたときに予備校のスタッフに質問すれば、よりスムーズに勉強を進めることができます。
添削を受けられるのは「進研ゼミ」と「Z会」
添削サービスがあるのは「進研ゼミ」と「Z会」です。スタディサプリにはありません。
国公立大学を第一志望にする場合、二次試験で出題される記述問題への対策は必ずしておく必要があります。進研ゼミとZ会には毎月「添削問題」がついています。これを提出することで添削を受けることができ、解答の書き方を改善することができます。記述力は自分だけで伸ばすのは大変で、添削してもらうことが「上達への近道」です。人によっては添削を受けるのが主な目的で、進研ゼミやZ会を利用することがあります。
スタディサプリは国公立大学や上位レベルの大学を目指す人にもおすすめですが、記述問題への対策をすることはできません。スタディサプリで記述対策をする場合は、日頃から自分で問題を解くときに、採点する人を意識しながら解答を書くしかありません。
サポートがあるのは「進研ゼミ」だけ
サポートがあるのは「進研ゼミ」だけです。進研ゼミに入会すると電話やインターネットでのチャットで質問・相談をすることができるため、教材で気になる点や学習相談をすぐにすることができます。進研ゼミはサポートに力を入れていて、「より続けやすいサービス」に変わってきています。
通信教育は教材の質は高いものの、「続けることができない」という大きなデメリットがありました。進研ゼミはこの短所への対策がされているため、より成績アップにつなげやすいといえます。ただ、サポートを活用しないと意味がないため、「進研ゼミにはサポートがあるから活用しよう」と先に頭に入れておくことをおすすめします。
Z会は進研ゼミと同じくらいの料金であるものの、サポートは「専用の用紙に質問内容を書いて送る」という形式になっています。これはインターネットが広まっている今、正直なところ使いにくいサポートではあります。
ただ、Z会を利用する人はそもそも「自分で勉強する力」が高いです。良い教材さえ整っていれば自分で進めることができる人が多いため、サポートが少ないことはそれほど大きなデメリットではありません。
スタディサプリはサポートがありません。月980円(税抜)という低価格のため、仕方がない面はあります。そのため自分で動画を見て勉強していく必要があります。スタディサプリは「毎日講義を見る時間を決めておく」「友達と一緒に取り組む」ようにすると続けやすいので、試してみてほしいと思います。
お試しをしやすいのは「スタディサプリ」
3つのサービスにはそれぞれ「お試し」があります。ただ、よりお試しをしやすいのは「スタディサプリ」です。スタディサプリは登録して2週間は無料期間となり、料金が発生しません。15日目から1ヶ月目の料金が発生するようになるため、それまでに動画講義を見て、自分に合うかを確認することができます。もともと安いスタディサプリですが、お試し期間も十分にあるため、とても良心的といえます。
進研ゼミとZ会はインターネットの公式ページから「資料請求」をすることができます。無料のサンプル教材を送ってもらうことができるため、内容が気になる場合は先に資料請求をすると良いです。また、進研ゼミもZ会も「合わない」と思ったら途中で退会することができます。そのためまずはひと月の間、様子を見てみるのはおすすめです。
自分に合った教材を活用しよう
ここでは、通信教育の中でも人気のある「スタディサプリ」「進研ゼミ」「Z会」の3サービスを比較してきました。それぞれがとても良いサービスなので、自分に合ったものを活用して受験勉強をしていきましょう。
また、気をつけたいのが「教材を選んでからがスタート」ということです。良い教材に申し込んでも、実際に活用して勉強しなければ成績は伸びないのです。通信教育は特に「継続」がとても大切なので、教材を使ってこつこつと勉強していきましょう。そうすればきっと、大きな成果につながるはずです。